● くりでんフォト集 ●
くりはら田園鉄道 は、宮城県北部の米どころ 登米市 石越駅 から、栗原市 細倉マインパーク前駅 間、25.7kmを 結ぶ 単線ローカル線である。 通称、「くりでん」 と呼ばれており、栗色をしたディーゼル車が、栗駒山を望みながら 田園地帯を走り抜ける姿は、とてものんびりとして気持ちがよい。 くりでん の前身である 栗原電鉄 は、旧細倉鉱山 (鉛・亜鉛を産出した名鉱) の、貨物と旅客の輸送を行い賑わい を見せていた。 しかし、1987年の閉山後は 衰退の一途をたどり、1995年4月には 第三セクターによる、くりはら 田園鉄道株式会社 として再出発したが、その後も利用者の減少が続き、ついに2007年3月の廃線が決定された。 ![]() 路 線 図 駅は全部で16 駅あり、そのうち 3 駅が 有人駅 (若柳・沢辺・栗駒駅) で、残りの13 駅は 無人駅である。 起点の 石越駅から鶯沢駅までは 田園地帯を走り、その先は 山間部へと入り 唯一のトンネルを抜けると、終点の細倉マインパーク前駅に着く。 また、3 つの有人駅には、日本では ほとんど見られなくなった 手動式の 腕木式信号機 があり、タブレット交換 も行なわれる。 このように、くりでん では 貴重な鉄道施設が 現在でも そのまま使用されている。 くりでん の概要 (2006年6月現在) 営業キロ数 ・ 25.7 km 営業運転 ・ 平 日 石越駅 〜 細倉マインパーク前駅 間 11 往復 石越駅 〜 若柳駅 間 1往復 土日祝日 石越駅 〜 細倉マインパーク前 駅 間 10 往復 石越駅 〜 若柳駅 間 1往復 駅 数 ・ 16 駅 有人駅 3 (若柳・沢辺・栗駒 駅)、 勤務は 駅長1人のみ。 無人駅 13 橋 梁 ・ 3 ヶ所 トンネル ・ 1 ヶ所 通常運行車両 ・ KD95型 ディーゼル車、在籍 3 両 (1 両単独 ・ ワンマン運転) 全従業員数 ・ 20 名 初乗り運賃 ・ 170 円 くりでん の車両について 現在の KD95 型 ディーゼル車は、1995年に導入された 広い側窓のレトロ調な車両である。 外観のデザインとしては、塗装が 栗原の 「栗色」 を、車両前後の上部にある 丸い前照灯は、カンテラ (旧細倉鉱山で使われていた手持ちの 照明) をイメージしている。
横から見た車両 車両前部
前から見た車両 カンテラ風の前照灯 また、車両前後左右には、栗原の 「栗」 や 栗駒山麓の 「馬」、栗駒山の 「残雪」や 伊豆沼の 「白鳥」 などをモチーフにした、ワンポイントマーク が取り付けられている。 この車両は、春夏秋冬の田園地帯に とてもよくマッチしている。
「栗」 をイメージしたマーク 「馬」 と 「残雪」 をイメージしたマーク 一方、車内では 床や座席に木材が使用されており、広い窓枠の柱には 陶板画も 取り付けられていて、レトロ調に仕上げられている。
車内の様子 窓枠と陶板画
運転室と料金箱 車内前部 車両諸元 (KD95型) 全 長 ・ 16.5 m 全 幅 ・ 3.09 m 全 高 ・ 4.09 m 自 重 ・ 26.7 t 機 関 ・ ディーゼルエンジン 250馬力 最高速度 ・ 80 km/h 定 員 ・ 103名 (座席 44名 ・ 立席 59名) くりでん の駅について 石 越 駅 無人駅 ・ くりでん の起点駅。 東北本線の 石越駅 に 隣接している。 ここから、くりでんは 田園地帯と山間部を のんびりと走り、片道約45分で 終点の 細倉マインパーク前駅 に到着する。
石越駅舎 ホームに到着した くりでん 下り 細倉マインパーク前 行き ・ 石 越 (いしこし) → 荒 町 → 若 柳 → 若 柳 駅 有人駅 ・ 車両基地 あり。 ここでは、タブレット交換 のみが行なわれる。 また、敷地内には 「くりでん」 の本社事務所があり、貴重な歴史的鉄道 資料を展示している 資料室 もある。
若柳駅舎 若柳駅舎
駅務室入口 乗車券発売窓口
タブレット式通票 腕木式信号機 転換テコ 腕木式信号機 腕木式信号機 転換テコは、鉄製で大きく重いために 手足 を同時に使って動かす。 この転換テコを 上下 させることに よって、長いワイヤーで繋がった 腕木式信号機の 表示 が パタンと横に開いたり、閉じたりするのである。 腕木式信号機は、有人駅の上下方向に 1ヶ所 ずつ設置されている。
DB10型 ディーゼル機関車 KD10型 ディーゼル車(左)と、DB10型 ディーゼル 機関車に連結された M18型 電車(右) 現在、DB10型ディーゼル機関車は工事用として、KD10型ディーゼル車は二両編成で イベント時のみ 運行されている。
M15型 電 車 (保存車両) 車両基地 点検整備工場 車両基地内には、以前の 栗原電鉄 時代に活躍した電車なども保存されている。 しかし、その車両の中には 自転車 置場にされたものや、朽ち果てたものもある。
入換え線路 車両基地内 転てつ機 下り 細倉マインパーク前 行き ・ → 若 柳 → 谷地畑 (やちはた) → 大岡小前 → 大 岡 → 沢 辺 (さわべ) → 沢 辺 駅 有人駅 ・ 現ダイヤ唯一の 車両交換 あり。 ここでは、タブレット交換 が行なわれ、上下2本の車両の行き違い (車両交換) を見ることができる。
沢辺駅舎 沢辺駅舎
乗車券発売窓口 マインパーク前行き 到 着 3つの有人駅では、JR などで ほとんど見られなくなった 「硬券」 という、厚い紙で できた乗車券が発売されている。
車両交換 車両交換
タブレット交換 見送る後ろ姿 上下2本の車両を、安全に行き違いさせるための タブレット交換は、駅長にとって大切な仕事のひとつである。 しかし、数分の所要時間しかとっていないので、タブレットを肩に担ぎ、二両の間を走りながら行き来しなければならない。 くりでん を安全に出発させた後の安堵感と、くりでん廃止後の思いが交差するような、哀愁漂う 後ろ姿 である。 下り 細倉マインパーク前 行き ・ → 沢 辺 (さわべ) → 津久毛 (つくも) → 杉 橋 → 鳥矢崎 (とやさき) → 栗 駒 → 栗 駒 駅
有 人 駅 ・ 栗駒町の 岩ケ崎 にある駅。
ここでは、2006年9月まで タブレット交換 のみが行なわれていたが、その後は廃止になり 保安要員 だけがいる。 駅舎は、くりでん沿線中 最も大きな木造2階建で、駅前周辺も広い。 また、宮城交通のバス営業所があり、この地域の 拠点にもなっている。 地元の人々は、 栗駒駅 とは言わず 「岩ケ崎」 と呼んでいる。 下り 細倉マインパーク前 行き ・ → 栗 駒 → 栗原田町 → 尾 松 (おまつ) → 鴬 沢 (うぐいすざわ)→ 鴬沢工高前 → 細倉マインパーク前 細倉マインパーク前 駅 無人駅 ・ くりでん の終点駅で、旧細倉鉱山があったところ。 ここから、歩いて10分ほどの所には、旧細倉鉱山の坑道を観光用に整備した 細倉マインパーク がある。 旧細倉鉱山時代の 細倉駅 は、現在の駅舎より 約 200m 奥に位置していた。 また、駅の近くにある 旧細倉鉱山住宅 では、2006年に 映画 「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」 (2007年 4月14日 封切) のロケが行われ、オープンセットと共に 古い建物の一部が保存されることになった。
細倉マインパーク前 駅舎 出発を待つ くりでん
旧細倉鉱山跡 旧細倉鉱山住宅 無 人 駅
田んぼの中にある、くりでん の典型的な無人駅である。このような駅も、廃止になれば 忘れ去られてしまうのかも しれない。 さようなら くりでん いよいよ、くりでんと お別れの時がやってきた。 くりでんの廃線が決まり、僕は これまでに何度か 沿線風景や車両を 撮影し、地元の方々と いろいろな お話をさせていただいた。 その中で、いちばん強く感じたことは、くりでんが地元住民 の 生活の一部になっていることである。 沿線の畑で農作業をしていた老人は、時計がなくても くりでんの音だけで 時間が分かるのだという。 また、ある無人駅で くりでんを待っていた婦人は、農作業をしながら 栗駒山をバックにして走る くりでんを見るのが好きだという。 このように、地元住民に惜しまれながらも廃線を迎える くりでん であるが、全国ニュースにも取り上げられたこともあり、最近は平日でも満員の状態が多く、ダイヤに大幅な遅れが生じているとのこと。 これを聞いた地元の老夫婦は、「もっと早く、くりでんに たくさんの人たちが乗ってくれたら、廃線に ならなかったかもしれない。」 と 嘆いていた。 くりでんのラストランは 刻々と近づいているが、出発を待つ くりでんを見つめていると、「私は、まだまだ 走り続けられ ますよ!」 と 叫んでいるような気がした。 くりでんよ、さようなら。 そして、たくさんの思い出をありがとう。 (2007年3月30日 記)
栗駒山遠望 ゆっくりと流れる時間 ● くりでんフォト集 ● |